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"住まいの日記帳"


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No.28 住まいづくりのスタート Feb. 9.2003 Sun

今日は一日長かった。心地良い疲労感を感じるものの、とても眠い今。また、今週は何となく長かった。明日一日頑張れば火曜水曜は休み。今度の休みは、久しぶりに飛行機を見に行きたいな。

先日来より日記に綴っているF邸お客様とのお打ち合わせが、本日午後19時より始まった。

住林さんと競合しているお客様である。二昨日も担当営業とその店長がお打ち合わせをしているが、当社は完全に不利な状況に置かれている。プランは評価いただいているものの、金額は目一杯の値引きをしながらも約500万円ほど住林さんより高い。

お客様は午後18時に住林さんとお会いしておりその後のお打ち合わせだった。そして、お客様をお待ちしながらも、お断りを頂くお話になるのかなと考え、担当の営業とは結果はどうあれ、お互い頑張っている労を癒すため近いうちに一杯行こうなと話もしていた。

でも18時に住林さんとお打ち合わせをして、19時に我々とは時間的に大丈夫なのかなと少し不安でもあった。それでも19時近くになってもお客様からはご連絡もなく、また、今まで時間に正確なお客様でもあったのでおそらく来られるのだろうと思いお待ちしていた。

そしてやっぱり19時ちょうどにお見えになられた。

お打ち合わせは、我々としては緊張しながらのスタートとなった。また、冒頭にお客様からは今夜も遅いのでお打ち合わせは30分~1時間ほどにして欲しいと言われていた。

最初、一昨日に一部修正をした図面のご説明をした。お客様のご指示であった部分を修正していた。その中で結構慌ててしまったのが、変更の一つに洗面所を少し狭めてトイレを広くするものがあった。もちろん洗面所はその分、3.3帖から3.0帖になるはずのところ、図面上の表記が3.3帖のままだったのだ。完全に自分が表記を変更し忘れていたのだ。すかさず言葉で訂正をさせて頂いたが、印象を悪くしてしまったなと思った。

また、不足気味の収納の量はいまだ改善されていなく、お客様もしきりに話題にし、持ち込み予定のタンスなど一部捨てるしかないかなとおっしゃられる。自分としても、何とか解決したくそのヒントを絶えず得ようとしていた。

完全にプランの印象も下がったかなと考えていたが、突然お客様は先ほどお会いしていた住林さんのプランを出してきた。おそるおそる拝見すると、確かに当社のプランに合わせていた。また、収納量は正直なところ我々の方が圧倒的に多い。また、瞬間的に気になったのは、お客様の持ち込み予定の家具類、特にタンスなどが極端に少ない。尋ねてみると、住林さんにはあまり細かい家具類まではお話をしていなかったとのこと。また、2人の設計士のプランが進行していく中で、お客様もかなり生活のイメージを掴んで頂いているご様子でもあった。

そうこうお話をしている内に意外にも盛り上がっていき、今までにない深いをお話をさせて頂いた。

今までは、どうしても魅力を感じる空間をお話をさせて頂いていたが、実際は使い勝手が優先でもある。そこで、今日は大胆にもリビングを狭め収納量や他の部分の使い勝手を良くして見ましょうと、約1帖分リビングを小さくした。約8.7帖から7.8帖になる。しかし、このことで洗濯物干しスペースの確保、収納量のアップ、洗濯機横の洗濯流しの設置追加を可能にする。また、幾つかの大技、小技を使い、実は床面積上では小さくなるリビングも視覚的には今まで以上に広さを感じるものにすることが出来る。

また、今回からお客様のご要望でキッチン上の吹抜けを止めている。今までは我々のご提案の一つとして吹き抜けていたが、キッチンに吊戸をつけられたいということで、普通に天井を作った。それでも食堂上は吹抜けているが。そして思いかけず聞かれてしまった。どうしてキッチン上を吹きぬけにしていたかと。実は、キッチン上の吹抜けは、煙や匂い、油煙などで汚れやすく、吹抜けはお手入れ上あまり良くない。でも、吹き抜けて天窓を付けたりすると北側にあっても明るく、開放感で一杯だ。だから私としてはそれが好きだからしてみましたと。もちろんそのメリット、デメリットは必ずご説明をする。そうしないと、後で使いにくい印象を持たれてしまう。

そんなお話をしながら、時間は21時を回っていた。すでに2時間経過。予想外に長いお打ち合わせになっている。もちろん再度正式なお見積もりもご提示していたが金額面の状況は変わらない。値引きももう出来ない。これ以上金額面での歩み寄りは無理で、我々はすでに限界の努力をご提示していた。

しかし、お打ち合わせは盛り上がる一方。プランも喜ばれており、金額のこともあまりおっしゃられない。

そして何となく契約のお話になった時、お客様がわかりましたと。若い営業マンが私たちとご契約をして頂けるのですか尋ねると、はい、とおっしゃって頂くことになった。

今日のお打ち合わせは、我々としては大変緊張するスタートであったが、終始和やかな雰囲気でもあった。また、予想外に当社をご採用頂くお返事も頂いた。その瞬間、私は全身に鳥肌が立つのを感じながら、プランに自信を持ち続けてこれた喜びと、また、その大きな責任が発生し始めたこと、また、それを何としてでも全とうしなければならない使命感を感じることになった。

いつも言うことだが、ご契約は当社をご採用して頂いた表れだけであって、住まいの結果ではない。これからが、お客様にとっても我々にとっても住まいづくりのスタートであると考えている。今までお話をしてきたプランは、お客様の住まいのスタートであって、まだ完成はしていない。これから多くの時間をかけて頂き、生活イメージングを一緒にしながら考えていくことになる。そして、竣工したことは、そのプランの実践開始である。その中で結果が作り出され、いつか遠い将来取り壊される時、総合的な評価を頂くことになると考えている。だからその日までご家族の安全、幸せを守り抜き、楽しく、明るく過ごし続けることが出来る住まいを計画しなければならない。だから、建物もプランも我々も、中途半端な仕事は絶対に出来ないのである。

今日は思いがけない結果を頂くことになり、有難い気持ちと、身が引き締まる気持ちである。また、建築同志の住林さんとは共に一つの住まいを考えることが出来、たまたま今回は当社がご採用頂けた。お客様がご採用頂いたきっかけは、1回目のプランだったそうだ。その時のプランは、現地を良く見ていただけに固定概念に囚われずプランを作ることが出来た。おそらく、住林さんより少しばかり早く現地を見ていたからだと思える。そして、一度ご提示するとなかなか後には引けないものである。そこのタイミングだったのではないかと思える。そして、ご採用の上では勝ったが、本当の住まいの結果は何十年後かに出るものであり、その時に勝敗がつくものと思うのである。住林さんとは、また今後ともよろしくお願いをしたい。



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