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"住まいの日記帳"


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No.3 住宅展示場の難しさ Nov.14.2002 Thu

今日は、午後中研修でほとんど仕事が手に付かなかった。朝から何事も無く職場にはいたが午後はずっと夕方まで研修だったのだ。

研修が終わり平穏な一日の終わりを締めくくろうとした矢先にお客様から電話が入った。いつもお客様から電話が入ると話し好きの自分としてはしばらく作図を離れて好きな話が出来ると、必ず一瞬は思うのだがこの電話のお客様はそうではないことがわかっていた。

面々でのお打ち合わせは、週一の割合でさせていただいているのだが電話はほぼ毎日、休日を除きかかってくる。それも毎回同じ話題なのだ。建物の屋上を利用しバルコニーにする範囲についてだ。技術的なところでこのお客様の範囲はすでに最大まで広げているのだが、さらに広げて欲しいと毎回のように求めてくる。すでに技術面でのお話は重々にしているつもりなのだが、お客様にとってはその範囲が何にもまして重要なのである。使用用途からして十分な広さであることは自分のイメージではすでに十分のはずであるが、イメージのつかみにくいお客様にはわからないのである。なかなか実物大のサンプルはあるものではないのでこの辺は昔からの問題でもある。

設計士自身はここまでくると後は設計士を信じて頂くほかはない。仕上げなどのサンプルは住宅メーカーだけあって相当な準備はあるものの、空間の広さのイメージはなかなか伝えにくいのである。まして同じ用途でも人により広さのイメージはかなり異なるのも難しくしている。そのため、多くのプレゼンテーションを駆使し理解していただくよう努めるのである(設計のかなり面白いところでもあるが)。

ただ、今回はバルコニーの範囲は可能な限り広くしたいとのご要望である。正当な技術面での限界は必ずあるものだが、うまくないのは展示場といわれる決して人が生活することの無い住宅。そのメーカーの技術と生粋の意匠(デザイン)の集大成とも言える住宅が、ある時その技術を超えてまで建つときがあることだ。今回まさにその点にお客様が触れてしまった。

後々のメンテなどさほど考えない展示場の屋上バルコニーはその技術基準を超えており、お客様は自身のお住まいもそれと同じように広くされたいとのことなのである。そんな、誰もが思う展示場と設計士の技術限界の矛盾をまさに付いてきたのだ。

当営業ともこの件について打ち合わせたが、技術基準を常に曲げることの無く今までお話しもしていることから率直正直にお話をする以外にないことになる。ただ、展示場といわれる住宅に我々自ら否定することにもなるのだが。

今回の件は、非常に細かいところでありお客様にもご納得頂くことになるのだろうが、色々な社内外の展示場を見渡すと実際に建たないだろうと思えるものも多いと思える。最近は以前より少なくなっているのだろうが、展示場はあくまで各社の幹部のご意見でその仕様が決まるもので、実際のお客様の建てられる建物とは同じでないことは、お客様をはじめ現場の設計士はすでにわかっているはずなのだが。



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