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No.9 ご契約 Dec. 9.2002 Mon

S邸のご契約前の最終変更依頼が担当の営業マンからあった。5ヶ所の窓シャッターを手動式から電動式に変えるものだ。作業は12月13日までにお見積もりを含め完成すればよいのだが、作業内容としては、図面と仕様書の文字を手動から電動にすることと、その電源とスイッチの記号を追加するだけなので変更依頼書が回ってきたときにすぐ作業を行ってしまった。そして、積算の担当者の方にその変更依頼書と修正をした図面と仕様書を添付したものを回しその作業を終えた。

S邸は今年の7月頃からお打ち合わせをさせて頂いている物件だ。

なかなか長期のお打ち合わせとなっている。もっとも着工は来年春ごろを予定しているので慌てる必要もなくじっくりご家族でお考えになられるとよろしいのである。そして、その為には何回も図面を作成させて頂く。お客様からは何度も図面を書かせることになるので結構恐縮がられることもあるが、こちらとしてはそれが好きで楽しく作らせて頂いているので常識的なお時間だけ頂ければ一向に構わないのである。

どんどんよくなっていく間取りに生活を想像しながら家具などの配置はとても楽しいのである。調子に乗って勝手に一部の壁や床に石を貼っては見積もりが高くなってしまい慌ててしまうことも時々あることなのだ。

S邸は、当初よりご家族のご意見が二分していた。ご主人様のご意見とお母様、奥様のご意見で分かれていたのである。

着工予定まではまだ時間もあるのでしばらくは常に2つのプランを同時作業で作っていた。凝った外観や個性的な間取りのご主人様用プランと、使い勝手とコスト重視の女性陣用プラン。私も個人的にはご主人様のプランに魅力を感じながらも女性陣のプランもなかなか合理的でまた嫌われるのも嫌なので、しばらく静観していた。

ただ、奥様はご主人様の大きな夢でもあるので本当はご主人様を立ててあげたいと、時々連絡があった。ただ、その障壁は予算を大きくオーバーしていることなのである。我々(私と担当の営業マン)も当初より最終的には女性陣のプランの方に動くのでは見ていた。

ご家族も家族内で意見調整が大変なことはよくわかる。みんな好みが違いお互い色々なことを言い合っては収集が付かなくなることも多いと思う。どこかのHPでの住まいの体験談で、それが原因で離婚騒ぎに発展したケースを読んだこともある。

また、まとまりかけたところに親戚や知人の第三者が現れ、いきなり家相など言い出し大騒ぎになることもよくあることだ。

映画で「みんなの家」(田中邦衛さん、唐沢寿明さんなど出演)というのがあるが、まさにこの映画のように色々な立場の人たちがいろいろな事を言ってはプランが一人歩きをしてしまい、お施主様不在の間取りに発展してしまうこともある。

それでも、住まい作りの過程には工事中も含め色々なことがあるが、お引渡しの時はみんな満面の笑みでいっぱいだ。これからの生活が楽しくてしょうがないのだ。我々も苦労が報われる時でもある。

ところで、9月から10月にかけては、S邸お客様からの連絡はほとんど無く、我々も他社さんの住宅の方でご検討されているのかなと思ったりしていた。住宅メーカーの中でも決して安いほうではない当社も単価の高さには我々(設計と営業マン)にも厳しいものがある。だからお客様の立場で考えると必ずしも当社で建てられる必要はないとも思う。

負けず嫌いの私としては、他社さんとの競合のなかで総合的に負けても、プランについては負けないぞという気持ちでいる。むしろ他社さんのプランをこちらが引っ張って行くという気持ちなのだ。もちろん建築を志す同士として敬意を忘れることは決してないのだが。

季節も秋から冬に入りつつ、11月になるとS邸にも動きが出てきた。お客様からのご連絡も頻繁になり、プランについてはご主人様のものをベースに極力コストを抑えられないかが焦点になった。

プランを必要以上に大きくさせている階段の向きを大幅に変えさせていただき、一部女性陣のプランを融合させつつ、コスト面での間取りも限界のところまで持ってきた。着工希望日までのお打ち合わせスケジュールも良い時期に入り、ほぼ間取りが確定をした。

しかしお見積もりは高い。予算を大きく超えているのは変わらない。それでもお客様の自己資金のアップと当社の努力でなんとか来週ご契約をさせて頂くことが決まった。

ご契約は、お客様にとっても我々にとっても住まい作りのスタートである。ご契約と同時に住まい作りという大きな仕事が始まっていく。そして、エンドレスなのである。

お引渡しは、我々の仕事の終わりではない。住まいを考えるお客様と我々にとり、一連の節目でしかない。生活がはじまり遠いいつか取り壊されるまで住まいの性能を維持しつつ、ご家族の安全と幸せを守り抜かないといけないからだ。

だからご契約の時は、最大の責任と全うしなくてはいけない使命が発生する。

お客様もサインの時、手が震えている。我々も緊張する瞬間なのだ。


※S邸の写真もご紹介しています。合わせてご覧ください。

住まいの写真集 No.6 「吹上の家」



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