(↑奥様から渡された家具寸法表)
今日はN邸の息子様ご夫妻とのお打ち合わせだった。
2世帯住宅をお考えになられており少々大きい規模(約78坪)だ。着工は来年の4月頃を予定しており、まだそんなに慌てる頃でもないのだが、そろそろお打ち合わせをということで本日当ショールームにご足労頂きお打ち合わせをして頂いた。
N邸のお父様とは、今年の夏ごろにご紹介をさせて頂いているが息子様とは昨日はじめてお会いした。息子様は農協の職員をされており、別件でそこの農協を訪問した際ご紹介に預かったのである。
「明日のお打ち合わせよろしくお願いします!」と私は言う。
「おそらく行けると思いますよ。でも、家内が忙しいものでどうなるか・・・」と頼りげのない発言。続いて、
「ところで何の打ち合わせ?」
「おおまかな建物の間取りとかですね。出来れば、家具の寸法など測ってきて頂けるとありがたいのですが。」
「ええ?これから測るの?うひゃ~」
「いえいえ、いつでもよろしいですよ」と、すかさずフォローをする私だった。
正直今日お打ち合わせが出来るのかどうか疑心難儀だったのだ。朝は。
それでもお約束の時間より多少遅れられたが、お見えになられ改めて奥様にご挨拶をさせて頂きお打ち合わせの開始となった。
お父様の方を通じ大方間取りのほうは確定をしている。そのため、いきなり細かい部分からのスタートとなった。
各お部屋を順番に回りながら窓の位置や扉のタイプ、収納のタイプ、しいてはコンセントやスイッチの位置と仕様についてとかだ。そしてこの部分の話は、具体的な家具の配置も考慮しなければ後々お住まいになられた時不便を感じることになる。
しかし、昨日のお話の件もあり、今ここで家具のことを言うといやみに取られるのではないかと心配しながらも、家具がわからなければ室内の使い勝手も決まらないもので、差障りのない言い回しを意識しながら話題に出したのである。
すると奥様から1枚の紙が手渡された。なんと家具の寸法を記入したものだったのだ。さらに驚いたのは、なかなか家具の寸法取りも骨が折れる作業でもあり面倒臭いものなのに、綺麗に絵を書いてまでの寸法表だったのである。
昨日あれほど面倒な態度をされていたお客様が、こうしてきちんと測っていただいている。このことに猛烈に感動してしまった私は、設計士の使命感という炎を心の中に燃やし(少し言いすぎかな?)あまりにも緻密な家具配置計画をはじめてしまった。
家具の配置計画は、ただ置ければ言い訳でもない。例えば、リビングのTVはソファーとの関係で昼間の日の光が反射するような配置は好ましくない。反射するとほとんど映像は見えなくなってしまう。また、子供の勉強机は、極力日の光が正面、または、左方向から差し込む配置が望ましい。右方向からだと紙が手の陰になり暗くなってしまう。冷蔵庫は、扉の吊り元により使いやすい配置位置がある。などなどどれを一つとっても使い勝手があるのである。
こんなお話をしながらお打ち合わせをさせて頂くと結構楽しい。まして、今日はかなり緻密な配置計画となったのである。時には、家具のために一部間取り上の壁を動かすこともよくあることだ。
この作業をせずに建ててしまうと必ず使い勝手は悪くなる。せっかくの新しいお住まいがどこか使いにくいものになってしまうのである。
お引渡し後のアンケートをよくとらせて頂いている。その多くは、家具の配置計画が甘かった為のものである。家具が中途半端に置かざるを得ないために、見た目はもちろん、窓が閉めにくい、なんだか狭い、ほとんどのコンセントが家具に隠れ掃除機用のコンセントが差しにくい、などなど出てきてしまう。
家具の寸法取りや新規購入される家具の仕様、イメージ、サイズを考えるのはそれなりに面倒なことかもしれないが、使いよい住まいの大きな要素でもあることは日頃の経験上強く感じるところなのである。