Home > 住まいの日記帳 > 嫌いでやっている人は聞いたことがない

"住まいの日記帳"


Previous ++ 日記帳トップ ++ Next


No.30 嫌いでやっている人は聞いたことがない Feb.17.2003 Mon

今日の午後は会社での表彰式だった。先期、成績の良かった社員を表彰するものである。残念ながら自分は常に拍手をする側だった。

表彰対象者は、まず営業である。具体的な数字があるので(棟数、金額など)その表彰をしやすいのは言うまでも無い。

一方、我々設計はその表彰基準が大変難しく、表彰項目は極めて少ない。基本的に表彰されるのは年2回行われるコンペに入選した者である。ハッキリ言っていくら仕事をしてもコンペに作品を提出していなければ表彰されることはまず無いということである。

設計は具体的な成果の数字が皆無に近いため、なかなか公平な評価がしにくい。どんなプランを作ってもプラン自体に答えが無いからだ。また、図面を作成した数も専用住宅が中心の設計と共同住宅中心の設計ではかなり違う。
専用住宅は一つの図面を決めるのに数多くのお打ち合わせと図面の修正を行うが、共同住宅はその数がとても少ない。その為こなせる物件の数も自ずと変わってくる。
そのため、多少数字があるもののその内容により公平な評価ではないのだ。表彰基準も難しいのである。

しかし、それに不平を本気で言う設計も少ない。学生の頃から身についている者も多い。 
自分が学生の頃は、2年目と3年目の時、設計課題が年4回あった。一つのテーマに約3ヶ月取り組み、そのテーマの自分の解答としてプランを作りプレゼンを行い先生に提出する。そして講評会が行われるのだが、この時点でプランに優劣をつける評価も無いのだ。プランの可能性は無限大で決まった答えは無い。然るべき考察とその提案は、その人の感性で決まるものである。だから学業成績の評点は、プランの評価ではなく真面目に取り組んでいたかということになる。

また、どんな作品でもその設計者は、自分のプランが一番良いと思っている者がほとんどである。自分の物指しで考え作ったプランだからその評価も自分の物指しでということになる。だから優劣をつけるのはほとんど不可能なのである。

また、クライアントが最終的に決めるポイントは、そのクライアント自身がそのプランを好きかどうかということになる。同じプランでもクライアントが違えば、違う結果となる。

そんな世界でもあるので、正直他人の評価をさほど気にしていないのも設計士の性格ではなかろうか。学生の時、プランについて先生の講評を頂いても参考までに聞くだけで自分自身の満足にはつながらなかった。最終的に自分が納得したかどうかが重要と考えているのだ。

もちろん実際の設計でも、そのお客様に対し自分が納得した考えでプランをご提示する。そして喜んで頂いた時は、自分の考えが間違っていなかったと喜ぶのである。この時が大変嬉しく、ご契約の可否の意識は営業よりも少ないだろう。

そんな設計でもあるから、時々風変わりな設計士も多く見受けられる。良く言えば個性があり芸術的、悪く言えば変人ということになる。
決まって言えるのは、みんな建築が好きであるということ。嫌いでやっている人は聞いたことがないのである。



Previous ++ 日記帳トップ ++ Next



Top

Home



Total Visitor


Deens House Advice | Deens Japan House | Deens Group

© 2002 Deens Group